かじた先生のバイオリン教室

かじた先生の先生

偉大なる恩師



私の恩師の一人、小杉博英先生

この教室の門をたたいたのは私が小学1年生のころ。
初めてお会いしたとき先生はなぜ前の先生を辞めたのかお聞きになりました。
そのとき私は偉そうにとんでもないことを言ったのです!(赤面)
「音楽は、音の楽しみと書きます。ぼくは今までそれを味わったことがありません。
だからやめました。」
今から考えたらお前に何がわかるんだと言いたいところですが、
小杉先生はにっこりと微笑まれ、
「きみ~、えらいな~~、はっはっは」
と大笑いされました。

以来、小杉先生には高校を出てアメリカに留学するまで音楽(人生)というものを教えていただきました。
アメリカに来てから今でも心の支えになり私の音楽の中に生きています。

先生に最初に教えていただいたことは姿勢でした。
それに基礎を徹底的に教わりました。
前の先生がなまじっか私がどんどん弾いて行くのをいいことに、
姿勢についてはあまり触れていなかったようで、徹底的になおされました。
まともになるのに1年以上かかったと思います。
今でも覚えていますが一度悪い癖の付いたフォームをなおすのは大変でした。
やはり何事もフォームというのは大切ですね。

そのときに言われたことでいまだに覚えているのが
「君は運送屋(引越し屋)にでもなるのか? そんなに力を入れてどうするの?」
そうです。そのころ私はバイオリンを弾くのにどれだけ力を入れていたことか・・・。

その偉大なる先生にも「先生も人間だったんだ」と思わせてくれるエピソードがあります。

私のレッスン中にカウチに横になられた先生はぐっすりと眠ってしまったのです。
それもそのはず、
大阪音楽大学の主任教授であり、各オーケストラで指揮をされ、生徒さんもたくさん教えられ
よくあれだけやられるものだとこちらが感心するほど熱心に指導されて、疲れないわけがありません。
まだ小さかった私はどうしていいものかわからず、同じ練習曲(たぶんカイザーあたり)を
何度も何度も繰り返して弾いていました。
10分ほどしてむっくりと起き上がった先生は「よし」と一言おっしゃりまたレッスンが再開。
先生は神様のような存在であったのでなぜかほっとしたものでした。

良い師匠というのは(師匠に対して良いも悪いもないのですが)いっしょにいるだけで、
いろいろと教えられるものです。
はっきり言って一緒にいるだけで音楽性や技術までも上達します。
一緒に食事をする、お茶を飲む、おしゃべりを楽しむ・・・。
私も小杉先生とご一緒させていただくのがとてもうれしく食事などに誘われるとすぐついていきました。
レッスンだけが勉強ではありません。
まして音楽などという一生かかる大きな課題はなおさらで、
師の考え方、人生におけるいろいろな経験談、楽しいおしゃべり、
また先生の教え子たちを愛する姿勢などそのすべてが弟子たちの勉強になるわけです。

音楽家は楽器だけ弾いていても良い音楽を奏でることは無理です。
こういった師匠との出会い、人との出会いは大切にしましょう。
あなたの音楽も変わっていくはずです。